予備校地理講師兼進学塾講師・山岡信幸のブログです。
問題と解答例は東進さんの解答速報・過去問データベースでどうぞ。

系統地理の出題がなくなり、世界地誌のみ3題。難易度は変化なし。
おなじみの膨大な選択肢数はやや減。
以下、幾つかの設問に対してやたらと毒づいておりますが、
地理を選択できる貴重な学部ですから、
基本的には作問のご苦労に対してリスペクトしております。

第1問 ヨーロッパとEU
時事ネタのBREXITを題材にしつつ、出題内容そのものには関係しない。
問1 
(1)(2) 国家機構どうしで比較するのかと思いきや、選択肢には該当するものがなく、
国名から選ぶしかない、とはいえEU諸国は選べないので、印・中・露などの
大国が候補となるが、EUの人口規模は5億人でNAFTAをやや上回る程度。
厳密に言えば瑞やリヒテンシュタインも当てはまる。
それを言うのは難癖かもしれないが、入試問題なんだから配慮が欲しい。
ちなみに
人口規模 … 中>印>ASEAN>EU>NAFTA> (2016年)
経済規模 … NAFTA>EU>中>ASEAN>印> (2015年のGDP)

(3)(4) (5)(6) (7)(8) 欧州の気候について。このあたりは基本中の基本。
(9)(10) (11)(12) この辺りは、帝国書院では安定陸塊(卓状地)だが、
二宮書店では古期造山帯になってるので、あんまし出さないで欲しい。
「構造平野」という分類にして頂くと助かる。
ただし、選択肢には安定陸塊と新期造山帯しかないので安心したよ。
(13)(14) (15)(16) この辺も基本事項。高校入試レベル。
(17)(18) 鉄鉱石(ミネット鉱)の産地。4地点が列記されてるからといって
「三角地帯じゃねーの?」という突っ込みは無粋。
(19)(20) (21)(22) 公用語の数を想起。仏は仏語のみ。瑞は4語。
(23)(24) 人名(シューマン)を問われるのかと思いきや、国名というオチ。
(25)(26) 欧州石炭鉄鋼共同体の原語を考えれば、
紛らわしい?選択肢に惑わされるはずもなし。
(27)(28)〜(37)(38) EC/EU揺籃期の頻出事項。
(39)(40) これも知っておいて欲しい。小国の戦略。
問2
易しい四字熟語。おまけに2011年第2問の問6とほぼ同じ。
問3
(a) やや難だが、慶応なら標準。
おまけに2007年第1問の問4で条約名をfull nameで出題済。
(b) CO2のCのこと。
問4
(a) お馴染み世界史関連問題、しかし・・・。
ロンドンの起源ロンディニウムは、1Cころ古代ローマ帝国が属州ブリタニア(ブリタンニア)に築いた交通の要衝。
で、何時代って書けばよいのか。
「古代ローマ時代」「ローマ時代」「古代ローマ帝国時代」「帝政ローマ時代」「帝政時代」・・・
決まった言い方があるのかどうか、世界史の先生に教えて欲しい
(どこかに持っていたはずの世界史用語集が見当たらない)。
いっそ「弥生時代」ではどうか?ダメか・・・。
(b) 略してC.B.D.
(c) 「緑地帯」でもマルかな?
あえて挑戦する必要はないので、ここはカタカナで。
(d) いろんな言葉が当てはまりうる、不明瞭で受験生を惑わせる出題。
対象をニュータウン建設に絞れば「職住近接」が相応しい。
しかし、大ロンドン計画全体の企図であれば「都心への過度の人口集中の抑制」とでも書くか。「戦後復興」でもよかろう。

第2問 西アジアと中央アジア
馴染みの薄い地域だが、慶応受験生ならある程度は対応したい。とはいえ、毒問もちらほら。
問1
(41)(42) 「南部」だったら砂漠気候。隣接するのは・・・。
(43)(44) ナイル川、ニジェール川、インダス川なども共通。
(45)(46) イラン「など」ってのが気になるが(アフガニスタンならカレーズ、北アフリカならフォガラ、など)、
選択肢を探せばこれしかない。
(47)(48) (49)(50) 年代を厳密に覚えてなくても、強い姿勢を示しうるA(アラブ)だけの組織が後から出来た、
と分かっていれば十分だろう。
(51)(52) こうやって第1次〜第4次を選択肢で並べられると心配になる人もいたかな。でも基本。
(53)(54) 上と合わせて覚えておく。
(55)(56) もう「アラブの春」は普通に出題される事項。
(57)(58) 世界史的な知識だが、地理でも時々出題される。
ちなみに、ユダヤ・儒・仏・ヒンドゥーは厳密に限定できないが
紀元前6〜3Cあたり。キリスト教は1C、シク教は17C。
(59)(60) やや難。「中東のパリ」ベイルートを首都に持つ。
日産のカルロス=ゴーン会長のルーツもこの国にある。
(61)(62) 同じテュルク語派の民族は中央アジアに広く分布。
問2
超基本事項。ただし必ず3点セットが並んでいるわけではない。
問3
国名はともかく、農業生産物はちょっと迷う。
さすがに具体的な生産量を覚えているはずはないので、
「肥沃な三日月」から想起される主要穀物を答える。
この辺りが原産の三大穀物のひとつを380万トン生産(2014年)。
他には、大麦94万トン、トマト90万トン、ナツメヤシ68万トン。
問4
これは厳しい問題。
「春」の始まったジャスミン革命はともかく、
受験生に「サレハ大統領失脚まで押さえておけ」とはなかなか言えない。
この国はアラビア半島の南西端にあって、アデン湾やマンダブ海峡を挟んでアフリカ大陸に面しており、
ひどい内戦、難民流入、さらには劣悪な衛生状態からコレラが発生している。
以下のリンク(烏賊のリングではない)も見ておこう。
BBCニュースのリンク→http://www.bbc.com/japanese/video-40401524
問5
これは出来ないと困る。
問6
(b)のイスラム最大宗派は必須だが、(a)の五行を全部漢字で書かせるのは「高校生クイズ」の問題に採用されそう。
問7
米国の度重なる軍事介入のうち年代から選ぶが、どうせ有名な奴だろう。
レバノン内戦介入(1982年〜1984年)、イラン・イラク戦争介入(1987年〜1988年)、湾岸戦争(1991年)、イラク攻撃(1993・96・98年)、アフガニスタン攻撃・駐留(1998年・2001年〜)、イラク戦争(2003年)、イラク占領・駐留(2003〜11年)などなど。
どんだけ軍事介入が好きな国なのか。

第3問 アメリカ合衆国
その軍事国家が第3問の題材。3題中、最難関。難しいというより毒々しい。
問1
(75)(76) (77)(78) 超有名数値問題。
(79)(80) 「酪農地帯」が選択肢にない!dailyは「日々の」だが、dairyは「酪農の」。ちなみに日記はdiary。
(81)(82)〜(89)(90) この辺の農業地域区分は完全にマスターしておきたい。
(91)(92) とても困る。候補になりそうなのは、
23アグリビジネス・31穀物メジャー・37食品工業・50畜産コンツェルン・55農業コングロマリット・・・
欄直前の説明からは23もお勧めだが、「〜と呼ばれる多国籍企業」との接続からは31のほうが適切。
ただし直前の説明では「穀物」に限定されないので迷う。
意味内容的には55も通じるが、受験地理では見かけない表現。
(93)(94) 先進国における旧い産業の典型。
(95)(96) フロストベルト・ラストベルトなどの別解あり。
(97)(98) 上の対義語。
(99)(100) (101)(102) は知らないと困るが、
(103)(104) を州名とからめて解答するには丹念な学習を要する。
(105)(106) これは厳しいが、
(107)(108) の「ハイウェイ」の意味が気になった注意深い人なら目にする数字。
(109)(110) 日本語では油母頁岩。
問2
変な問題。選択肢があるから何とかなるものの、なぜ「2009年」という旧いデータで作問したの? 
解答を2つに絞ること以外で「40%」に意味があるのか?(例えば綿花は38%) 
ちなみに2014年では、大豆・トウモロコシはいずれも約35%。
問3
「適材適所」ではない。
問4
(a)(b)は問題ないが((a)は2011年第3問の問4で既出)、
(c)(d)は毒々しい。無理が通れば道理が引っ込む。
面積を「エーカー」で答えさせるのは計量法違反(永六輔さんのお陰で逮捕はされません)。
年代も「19世紀後半」程度の把握で何か問題でも?
問5
これは落とせない。
問6
「バイオテクノロジー」は技術であって産業でない。
厳密に「産業」を答えるなら「バイオインダストリー」であるはず。
しかし、後者は受験地理用語としては全く馴染みがない。困る。前者でも許容されるのだろうか?
問7
これもきつい問題。数値自体を覚えていないと、ああでもないこうでもないと理屈を捏ね回してミスりそう。

以上です。
SU30、PU15×2

 
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