予備校地理講師兼進学塾講師・山岡信幸のブログです。
中高生のころ、地理の時間に地図帳を忘れて、隣のクラスに借りに行ったことのある人は多いでしょう。
地理の学習には地図は欠かせません。
現行の高校教科書でも、第1章が地図に関する内容に当てられています。
すべての学習の前提となる位置に置くことで、その重要性が強調されているわけです。

さて、ごく最近まで地図=紙でした
(メソポタミア時代には粘土板だったりしたわけですが…)。
地図帳も紙だし、
国土地理院の発行する全国の地形図も紙。
ところが人工衛星やインターネットの発達は、地図の世界も大きく塗り替えました。
「ぐるなび」で検索した居酒屋の場所も、
Googleマップで確認したクライアントへの道順も、
カーナビで見た渋滞情報も、
デジタルデータを経由して液晶画面の上に表されています。
国土地理院の地形図もデジタル化されており、ウェブサイト(http://www.gsi.go.jp/)で閲覧可能です。

カーナビなどに用いられるGPS(全地球測位システム)は、
複数の静止衛星から電波を受信して、現在地の緯度や経度を正確に測るものです。
なお、人工衛星は他にも、
地表のようすを電磁波や光によって観測するリモートセンシング(遠隔探査)の技術によって、
さまざまな地理情報を提供してくれます。

GPS電波を受信して地図作成に利用するために、
日本全国約1300カ所に「電子基準点」が置かれており、
かつての「三角点」に代わって地形図製作の基準となっています。

地形図愛好家には馴染み深い「三角点」ですが、
三角といっても、三角形の“何か”があるわけでなく、たいていは花崗岩などでできた四角柱の石です(例外あり)。
この名称は、「三角測量」という測量方法に由来しています。
一辺とその両端の角を実測して、新たなる地点を確定していくやり方です。
明治のはじめ、イギリスからのお雇い外国人に指導をうけながら東京に13カ所の三角点を設置して以来、
全国10万か所におかれ、正確な地形図作りに活かされてきました。
明治の終わり、立山連峰に三角点を設置した陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)の苦闘は
新田次郎の小説『剱岳 点の記』 によって知られています。映画にもなりました


2014年8月、国土地理院の検討委員会は
「(GPSの発達に伴って)10年後には三角点は測量の基準としては使われなくなる」
と発表しました。
しかし、山頂などの見晴らしの良い場所でみかける三角点には親しみを感じる人も多く(わたしもその一人)、
役に立たなくなったからといって三角点が撤去されることはなさそうです。

↓電子基準点の地図記号。三角点のアタマの上から電波っぽい「w」が出ている。
電子基準点

↓三角点(佐賀県名護屋城址)。朝鮮出兵に際し、秀吉が設置した
三角点(佐賀県名護屋) のコピー
というのは嘘です。念のため。


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