予備校地理講師兼進学塾講師・山岡信幸のブログです。
おとといの記事 に出てきたエラトステネスによる子午線※測定について

エジプトのナイル川三角州(受験地理では円弧状三角州として覚えておくべき)。

三角州の形状 のコピー

その西部沿岸にあるカイロに次ぐ第2の都市アレクサンドリア。
紀元前300年ころ、プトレマイオス朝※※の首都がおかれ、ビブリオテケ(大図書館)が建設された。
その図書館の館長だったのが昨日の記事でも登場したエラトステネス(以下エラさん)。

エラさんは素数を篩にかけながら、ある面白い話を聞いた。
ナイル川の上流にあるシエネでは夏至の正午に太陽の光が井戸の底を照らすという。
夏至に太陽が真上に来る、つまりシエネが北回帰線上にあるってことですね。
シエネというのは、アスワン=ハイ=ダムで有名な現在のアスワンのことですから、
ぴったり回帰線上ではないけれど、まあ遠からず。

一方、アレクサンドリアで夏至の日に太陽の高度を測ると、
真上よりも7度12分ずれている。
角度は60進法だから、これは7.2度。
エラさんはシエネがアレクサンドリアの真南にあると考えていたから
(実際には南南東くらい)、
両地点の緯度差が7.2度、つまり子午線全周の50分の1と判断した。

img112.jpg

シエネまでの旅行の経験から2地点間の距離を5000スタディアと推定し
(ここがものすごく大雑把で笑えるが、当時の情報に限界があるのは仕方ない)、
子午線全周を計算したのである。
古代ギリシャの単位であるスタディオン(スタディアはスタディオンの複数形)だが、
地域により差があったらしく、1スタディオンは160〜190mくらいの幅がある。
160mとすればほぼ誤差のない地球全周40000kmが得られる。
(160m×5000×50=40000000m)
一般的に伝えられる値は180m前後なので10%程度の誤差があるが、
当時の推定としては十分に正確だろう。
いずれにせよエラちゃん、エラい!

※ 子午線は経線の意味で使ったり、両極を含む大円(球の中心を通る切り口)の意味で使ったりします。
  なぜ「子午」線かというと、方位を十二支で表していたころの名残りですね。
img110.jpg(2017.9.9 図を追加)

※※ プトレマイオス(Ptolemaios)は英語でトレミー(Ptolemy)。
  ギリシャ語系の英単語は語頭のPが黙字になる。psychologyとか。
  プトレマイオス朝の始祖プトレマイオス1世はアレクサンドロス大王の部下。

  なお、学者のプトレマイオスはもっと後の2世紀、古代ローマの人物で、
  円錐図法の世界地図(地理でも出てくる)や「トレミーの定理」を作った。
  以前にもちょっと触れたけどトレミーの定理は美しい。
 img111.jpg
  トレちゃんもエラい!




関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://geoyamaoka.blog86.fc2.com/tb.php/1597-b5996ecf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック