予備校地理講師兼進学塾講師・山岡信幸のブログです。
古来、時刻は日の出・日の入りや太陽の南中を基に定められてきました。
地球の自転は1日1回転ですから、
  360÷24=15
の計算から、経度差15度で1時間の時差が生まれます。
自転の向きを考えれば東に進むほど時刻も進みますが、
地球は丸いのでどこかで区切りをつけないと日付が決まりません。

1884年にワシントンで開かれた国際会議で、
グリニッジ天文台(ロンドン郊外)を通過する経線を「本初子午線(0度の経線)」と決めました。
ここで定まる時刻=グリニッジ標準時GMT)が世界の時刻の基準となったのです(Greenwich Mean Time)。
そこから東に経度で15度離れると時刻は1時間進み、西に15度離れると1時間戻ります。
すると、経度180度線ではGMT+12(時間)とGMT—12(時間)が一致してしまうため、
このあたりに日付変更線を引いて 1日分の時差を調整するのです。
(なお現在では、原子時計をもとにした「協定世界時(UTC)」が用いられます。
とはいえ両者の差は100年で18秒程度なので、以下の説明ではGMTを用います)。

ただし、地点ごとに時刻を定めると、
例えば那覇が正午のとき、札幌は12時54分という具合に、不便が生じます。
(日本の最東端=南鳥島は東経154度、最西端=与那国島は東経123度なので、
  (154ー123)÷15≒2
で、日の出や南中といった体感の時刻では約2時間のずれが生じます。)

そこで国ごとに標準時が定められます。
ワシントンの会議の4年後、
日本では兵庫県明石市を通る経線を「日本標準時子午線」と定めました。
明石市で太陽が南中すると、日本全国が正午になるのです。
なぜ東京ではなく明石なのでしょう?
明石焼(地元では「たまご焼き」と呼ぶ蛸焼きの親戚)で有名な街ですが、
ポイントは明石の蛸ではなく、明石市の東経135度が15度の倍数だということ。
日本はGMT+9というキリのいい標準時を選んだわけです。
前後の15の倍数、東経120度や150度は日本の領域を通りません。

ちなみに、東経135度線は明石市のほかに、
東経135度線の通過(兵庫県)

京都府京丹後市・福知山市、
兵庫県豊岡市・三木市・神戸市・淡路市、
和歌山県和歌山市(友ケ島※)
なども通過します。
※厳密には、紀淡海峡に浮かぶ友ケ島群島のうちの
沖ノ島の西端にある友ケ島灯台付近。


これらの自治体には、いずれも日本標準時子午線が通過することを記念して
標柱・碑石・モニュメント・看板などが設けられていますが、
1910年、明石郡校長会の呼びかけによって明石市天文町の大蔵交番前に
いち早く「大日本中央標準時子午線通過地識標」が建てられました。
1888年の標準時子午線の制定時には特に明石市との紐付けはなかったのに、
この識標設置以後、
「明石=日本標準時子午線のまち」がデファクトスタンダード(事実上の標準)になったようです。

つまり
早いもん勝ち。

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